幸せをくれた君に
俺は、ちらりと美香を伺うが顔色の変わらない彼女に異論はないようだ。


「分かりました。お父さん、あまり飲みすぎないように気をつけてね」


彼女は娘らしく、父親を案じる様子を見せた。


「分かっているよ。では、美馬君よろしく頼む」


「はい…」


俺は社長と黒川専務を見送るために席を立つ。美香は立ち上がらないとこをみると、ここで見送るつもりのようだ。


そんな俺を社長と専務は制し、『ここでかまわないから』なんて、ありがたくもない心遣いを見せて出ていった。


本音を言えば、このままここから逃げ出したいぐらいだ。


けれど、それはできないことは嫌というほど分かっている。


俺は一つ深呼吸をした。


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