jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
ついに、わたしの勘忍袋の緒が切れた。
ブチっと音が聞こえてきそうなほどに・・・・・・。
「香さん・・・・・・。今から何が始まるか分かってる?」
今まで聞いたことのない、自分でも驚くほど恐ろしい声が出た。
香さんが、恐る恐る上半身を捻って、こちらを見てきた。
「ご・・・・・・ごめんなさい・・・・・・麗しき蕾様・・・・・・」
母となり、精神的に強くなったわたしは、たまに香さんと立場が逆転するときがある。
基本的には、悪魔香に意地悪されたり、良い意味で襲われたりする日々だが・・・・・・。
わたしは上機嫌に戻り、絶世の美を持つ王子様に抱きついた。
「香さん、大好きよ!」
そう言って、思いっきりベタベタしてみた。
真諭は、1階で志音に面倒を看てもらっている。
子がいてもいなくても、わたしたちの愛情表現は、いつも限度を超えているのだが・・・・・・。
そんな両親の姿を、もうすぐ1歳になるおチビ君は、どこか白けたような目で見てくる。
彼は2人の遺伝子を受け継いでいるにも関わらず、変わった感性を持ってはいないのだろうかと心配になるときがある。
志音に相談したとき、そこは心配するところではなく、むしろ喜ぶべきだと冷たく言われてしまった。
相変わらず、クールな志音。
だけど、そこがまたきゅんとくるんだ。
一方、秀斗は、優しくわたしに同情してくれた。
相談者としては、秀斗が一番適任だろう。




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