jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
千砂兎さんは、痛々しい表情を浮かべながら、一呼吸置いて、続きを話し出した。
「少女の母親が教えてくれた。昨日、自分で右手の人差し指を傷付けたそうだ。広範囲ではないが、傷は深く、その跡は残るだろうと・・・・・・。そんな状態の中、お姉ちゃんに会いたいとせがむから、心配で一緒に来たそうだ。どうしてそんなことをしたのか、わたしは泣きながら聞いたんだ。そしたら、『お姉ちゃんといっしょに悲しい顔をすれば、元気になってくれるから』つじつまが上手いこと合わない理由だけど、わたしには痛いくらい伝わったよ。わたしはそのとき誓った。この少女のために、誰にも負けない技術者になろうと。そして、いつかどこかで出会ったとき、最高の贈り物をしようとね。その少女のくれた温もりほど、温かいものはどこにも存在しない。昔も今も・・・・・・その子の名は、花咲蕾。母親は花咲舞。さぁ、蕾とわたし、2人だけのために存在する人差し指を見せてくれないか? 蕾」
わたしは衝撃で鳥肌が立った。
千砂兎さんが、母の名前を知っていること。
そして、母に1つだけ聞きそびれていた謎が、千砂兎さんによって解明されたからだ。
わたしは、右手を差し伸べる前に、皆に過去を伝えることにした。
「・・・・・・小学校4年生の頃に、両親は離婚した。それから、わたしは精神状態が不安定になった。父親を思い出す度に、鳥肌が立ってしまったり、自分はいらない子なんだと自虐しそうになったこともあった。母には秘密にしていた。これ以上、苦しめたくなかったから。わたしはその頃の記憶があまりないの。思い出したくないから、きっと頭の中で削除されたんだと思う。だけど、公園で出会った女の人のことは、薄っすらとだけ覚えている。きっと、姉ができたみたいで嬉しかったのね。大好きな人と同じ苦しみを味わいたいのと、自虐したい気持ちが重なったんだと思う。はっきりは思い出せないけど、きっとそう・・・・・・」
「少女の母親が教えてくれた。昨日、自分で右手の人差し指を傷付けたそうだ。広範囲ではないが、傷は深く、その跡は残るだろうと・・・・・・。そんな状態の中、お姉ちゃんに会いたいとせがむから、心配で一緒に来たそうだ。どうしてそんなことをしたのか、わたしは泣きながら聞いたんだ。そしたら、『お姉ちゃんといっしょに悲しい顔をすれば、元気になってくれるから』つじつまが上手いこと合わない理由だけど、わたしには痛いくらい伝わったよ。わたしはそのとき誓った。この少女のために、誰にも負けない技術者になろうと。そして、いつかどこかで出会ったとき、最高の贈り物をしようとね。その少女のくれた温もりほど、温かいものはどこにも存在しない。昔も今も・・・・・・その子の名は、花咲蕾。母親は花咲舞。さぁ、蕾とわたし、2人だけのために存在する人差し指を見せてくれないか? 蕾」
わたしは衝撃で鳥肌が立った。
千砂兎さんが、母の名前を知っていること。
そして、母に1つだけ聞きそびれていた謎が、千砂兎さんによって解明されたからだ。
わたしは、右手を差し伸べる前に、皆に過去を伝えることにした。
「・・・・・・小学校4年生の頃に、両親は離婚した。それから、わたしは精神状態が不安定になった。父親を思い出す度に、鳥肌が立ってしまったり、自分はいらない子なんだと自虐しそうになったこともあった。母には秘密にしていた。これ以上、苦しめたくなかったから。わたしはその頃の記憶があまりないの。思い出したくないから、きっと頭の中で削除されたんだと思う。だけど、公園で出会った女の人のことは、薄っすらとだけ覚えている。きっと、姉ができたみたいで嬉しかったのね。大好きな人と同じ苦しみを味わいたいのと、自虐したい気持ちが重なったんだと思う。はっきりは思い出せないけど、きっとそう・・・・・・」