jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
4敗すると、ワンピースのボタンへ到達してしまう。
ワンピースの下に着ているのは、胸倉の開いた薄い下着なので、5回負けると確実にやばい状態になるだろう。
(陶器君、わたしをお助けください・・・・・・)
とことん自分勝手だと思いながらも、わたしは本気にそう願った。
「10回勝負だよ。いくよ、じゃんけんぽん!」
良い歳こいた大人2人が、本気でじゃんけんに取り組む姿は、泥棒にも見せたくないと思った。

1回戦は、あいこ。
2回戦は、わたしの勝ち。
3回戦は、グーとパーで負け。
4回戦は、チョキとパーで勝ち。
5回戦は、グーとグーであいこ。
(このまま、いけばセーフかも!)
そう思ったのもつかの間で、ここからが地獄だった。
なんと、6回戦は勝ったものの、7、8回戦は負け、コートを脱ぐ羽目になってしまった。
そして、更に9回戦も負けてしまったのだ。
わたしが渋ったせいで、ワンピースの第1ボタンは、香さん直々に外されてしまった。
(最後は負けるわけにはいかない)
白熱したムードの中、香さんの掛け声が響いた。

結果は・・・・・・わたしの負けだった。
罰ゲームが確定した瞬間、香さんは怖いくらいに美しい顔をしていた。
『今の僕には、情けなんて存在しないよ』とでも言いたそうな悪魔の微笑を浮かべていた。

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