jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
「あのぉ、香さん・・・・・・お取り込み中、申し訳ないんですけど・・・・・・。その男性はカメラマンで、雑誌の特集のために、この街を撮影しにきたみたいなの・・・・・・。お店が留守ばかりで取材ができないって焦っていたところに、わたしを見つけたみたいで・・・・・・。看板娘として載せていただくことになりまして・・・・・・。1番最初に撮影したこのお店を、大きく載せてもらうことを条件にして、引き受けたの・・・・・・。だって、お店の宣伝にもなるでしょう? わたし、香さんの何でも屋をたくさんの人に知ってもらいたいから、だから、つい・・・・・・」
言い切ったものの、背中に感じるオーラが恐ろしくて、目は閉じたままにした。
沈黙のあと、香さんの悪魔の囁きが聞こえてきた。
先ほどのヤクザのような口調ではなかったが、何とも恐ろしい猫撫で声だった。
普段は、意地悪の中にも適量の甘さが溶け込んだような口付きなのだが、今回は矛先がわたしではないからだろうか、甘辛を通り越し、比べものにならないほどの圧力と重力をその声に潜めていた。
「そこのカメラマンさん・・・・・・。僕は、君を恨んでいるよ。僕の可愛い可愛い蕾に触った。いや、無理やりに犯したんだ。許されるとお思いかい? だけどね、ここを戦場にしてしまったら、傷付いた蕾を更に傷付けることになってしまう。それはごめんだ。今回は見逃してあげるよ。店も宣伝してくれたまえ。だけどね、蕾は撮影させないよ。ただでさえ、誰の瞳にも映したくないのに、見世物になってしまうなんて気が狂いそうだ。あぁ、良いことを考えたよ。カメラを貸して・・・・・・」
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