jack of all trades ~珍奇なS悪魔の住処~【完】
その思いをさらけ出すことはせず、最近調べた2つの用語を使って賭けに出ることにした。
1つ目かどちらでもないなら、志音と一緒になる。
2つ目なら、友達に戻る。
だけど、志音が友達に戻るなんて都合のいいことはしないだろう。
それは別れを意味する。
『志音、あなたはタチ。じゃあ、その相手は?』

さっきまでとは違って、5分、間が空いて着信が鳴った。
恐る恐る画面に目をやると、そこには1番見たくなかった文字が並んでいた。

『ネコ』

わたしの賭けは、失敗に終わった。
転んで欲しくない方向に、運命の駒は進んでしまったようだ。

『志音、幸せになってね。ありがとう』
真摯なあなたに、優柔不断なわたしは相応しくない。
『蕾・・・・・・。わたしの気持ちは届かなかったようだ。さようなら』
短い時間、短い言葉で、恋愛劇は幕を閉じた。
(あなたのネコになりたかった。一番最初にあなたに出会いたかったよ)


わたしはショックで、何日も夜通し泣いていた。
次の朝、目の腫れがあまりにも酷いときは、会社を休んでいた。
今は、秀斗のことも香さんのことも、考える余裕はなかった。
わたしがどれだけ志音を愛していたか、あの人になら将来を捧げてもいいと思えた。
こんなに愛しているのに、どうして簡単に譲ってしまったんだろう?
どうして、諦めてしまったんだろう?
問うても問うても答えは出なくて、ただ果てしない後悔とミザリーが荒々しく襲ってくるだけだった。
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