プリーズ・イート・ミー
「あたし、実は子供の頃から合気道習ってまして、有段者です」

「えっ……」

「それから、実はゴキブリとか、新聞まるめてパーンて一撃でしとめます。『きゃーゴキブリー』って、怖がるような可愛いタイプじゃないんですよ」

「へぇ、なんかそれは意外だな」

「うち、父親が早くになくなって。母と妹の女3人で暮らしてるんです。ふたりとも怖がるもんだから、あたしがやるしかなかったんですよねー。これでも結構頼りにされてるんですよ?」

「それも初耳」


パッと冨樫さんの方に体を向ける。


「そりゃそうですよー。こんな話したことないですもん。いつもあたしの方が一方的に冨樫さんのこと聞いてたけど、冨樫さん、あたしに全然興味持ってくれなかったから……。何も言ってなかったな……って思って」

「あー……悪ぃ」

「謝らないでください……。そうじゃなくて、つまりあたしが言いたいのはですね」


ちょっと怒ったような口調で、あたしは早口でまくし立てた。


「冨樫さん、あたしのこと何も知らないじゃないですか! 知ろうともしないくせに、勝手に自分のイメージで決めつけないでください、あたしのこと。振るにしても、ちゃんと知ってから、振ってくださいよ!」

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