光の思い出 - happiness&unhappiness -





 2年前のちょうど12月24日。

 孝太と付き合い始めてから1ヶ月。2人で過ごす初めてのクリスマスイブ。
 嬉しいような緊張するようなその状況に、私はとにかく、浮かれていたのだと思う。

 イブの日は、広場のイルミネーションを見に行った。最近テレビで取り上げられて、有名になり始めたばかりのイルミネーション。

 見るものすべてが綺麗で、ずっと「キレイ!」という言葉を口にしていた。それ以外にあの広大な光の数々を表す言葉が見つからないのだから、私ってば語彙力がなさすぎる。

 でもそんなこと気にしない素振りで、孝太は隣で笑っていた。だから自然と、繋がった手が伝え合うぬくもりに幸せを感じる。


「有美、まだ見てんの? そろそろ帰ろうよ」

「んー、もう少しだけ。まだ見ていたいよ」


 広場の真ん中。メインシンボルとでも言えるような大きなクリスマスツリーが、そこに堂々と立っていた。

 聖なる夜のメロディーに合わせるように、電飾がキラキラと色を変えていく。その光を浴びて周りの金色や銀色の飾りも輝きを増し、ツリーは一番目立つ存在になっていた。

 私はすっかりそのツリーに見惚れてしまい、一度止めた足がなかなか動こうとしない。何だか目を離してしまうのが名残惜しいほど、そのツリーに惹かれていた。

 他の場所を見るわけでもなくずっとそこに居座る私。さすがに同じものをずっと見ているのは、孝太も嫌になってきたのだろう。小さな溜め息が聞こえた。


「なぁ、見てて飽きないの?」

「うん、飽きない」


 即答に、また溜め息が零れる。白くなった息が私の前を通過した。煌びやかな光が白いベールに包まれて、一瞬だけ輝きを損なう。


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