雪の足跡《Berry's cafe版》
そのあとは私から母への手紙を読み、私達から両親へ花束を渡した。最後に八木橋の父親が挨拶し、そのあとに八木橋が噛まずに挨拶をして無事披露宴を終えた。退場する参列者にサシェを一つずつ手渡して見送った。日帰りで帰る客もいたがほとんどはホテルに泊まって明日帰るようだった。夜は八木橋家青山家、それぞれに開かれている2次会に行き、お酌をした。そのあと私達は挙式したカップルへのサービスでスイートに泊まり、疲れ果てて静かな夜を過ごした。窓から外を眺めると雪はチラチラと舞い降りていた。祭の後の静けさというか物寂しさというか、私は再び寂しさに襲われた。物事の始まりなんてこういうものなのかもしれない。結婚はゴールじゃない、スタートなんだと改めて感じた。
八木橋は翌年3月に行われた技術選で見事入賞を果たした。ギリギリの10位入賞、時間や労力を使いきった割に今ひとつ成績は伸びなかったけど八木橋も私も満足していた。勿論決勝当日は私も八方尾根まで応援に行った。前年よりも速くてキレのある滑り方に目を奪われた。でも八木橋は今期を限りに技術選を引退すると公言した。
「ユキ、いいか」
「あ……うん」
その夜、八木橋は避妊具を付けずに私を抱いた。そしてその後何年もの間、酒井さんにスナイパーだとからかわれることになる。そう、私は身篭った。そして初雪の降る頃、無事女の子を出産した。
八木橋は翌年3月に行われた技術選で見事入賞を果たした。ギリギリの10位入賞、時間や労力を使いきった割に今ひとつ成績は伸びなかったけど八木橋も私も満足していた。勿論決勝当日は私も八方尾根まで応援に行った。前年よりも速くてキレのある滑り方に目を奪われた。でも八木橋は今期を限りに技術選を引退すると公言した。
「ユキ、いいか」
「あ……うん」
その夜、八木橋は避妊具を付けずに私を抱いた。そしてその後何年もの間、酒井さんにスナイパーだとからかわれることになる。そう、私は身篭った。そして初雪の降る頃、無事女の子を出産した。