たった一つの願いをこめて
ルルはポニーの毛を綺麗にブラッシングしたあと語りかけました。

「ねぇ、ポニー。ルルはどうして街へ行ったらダメなんだろう・・・」

ポニーはルルをジッと見ながら黙ってお話を聞いています。

「わたしも母さんと一緒にミルクを売りに街に行きたいなぁ・・・。学校行ってお勉強したりして、お友達も作りたい」

ルルがそう言うと、ポニーは淋しげな瞳で俯くような仕草を見せました。

ルルはそれに気付いたのか、気付いていないのか、ポニーの艶のある茶色の毛を優しく撫でてあげます。

「もちろん、ポニーはずっとルルと一緒よ」

ポニーはルルのことが本当に大好きでした。
ルルはポニーの気持ちをいつもわかってくれるからです。

お腹がすいた時や一緒に遊んで欲しい時、人間と動物、いくら言葉が通じなくても、ルルはポニーの事を良く知っていました。

そして、ポニーもまたルルの気持ちを良くわかっていました。
ルルが毎日こうして、ポニーに語りかけていたからです。
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