たった一つの願いをこめて
ミリアンが水汲みから帰って来ると、ルルとポニーは急いでミリアンのもとへと駆け寄りました。

「母さん、ルルが持つわ!!」

「あら? 珍しいわね。ルル、何か良いことあった?」

「うふふ」

ルルはミリアンに内緒と言わないばかりに、口元に小さな指を一本添えて、悪戯に微笑みます。
ミリアンはそれを見て、首を傾げてふぅっと溜め息。

「母さんは、これからミルク瓶を売りに街へ行くわ。ルルは水をあげたあと、牛とポニーを小屋に連れていってね」

「はぁい! ポニー、牛さんと小屋へ行こう」

ルルはポニーのお尻をポンッと叩くと元気いっぱいに走り出しました。
そして、ポニーはルルを追いかけるようにその後をついて行きます。

ミリアンは、そんな光景を目にして、悲しげに微笑みました。
いつも仕事を手伝ってくれているルルに、本当は申し訳ない気持ちでいっぱいなのです。

「手伝いばかりで、学校にも行かしてあげられなくてごめんね・・・」

ミリアンはそう呟くと、ミルク瓶が七つ入ったかごバッグを右腕に持ち、暗くならないうちに足早に街へと向かいました。
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