月の絆~最初で最後の運命のあなた~




 絢華さんは、あたしがいつも座わる一番奥にあるボックス席に案内してくれた。


 どんなに混んでいても、そこだけは空けておいてくれる。あたしが静かに食べるのが好きなことを知ってから――。


「いつものでいい?」


「はい。でも、少しだけポテトを多くしてもらえますか?」


「いいわよ。兄さんに伝えるから、出来上がるまで待ってね」


 伝票をテーブルに置くと、絢華さんは他の客に声をかけながら行ってしまった。このフレンドリーさが好きだ。


 ただの店と客って感じではなく、まるで家族と接するように温かい。サービスがいい店より、アットホームな雰囲気のある店のほうが落ち着く。


 暇になったあたしは、他の客を眺めるのをやめて鞄を引き寄せ、着信とメールを調べるため鞄の中に手を突っ込み――。





< 103 / 356 >

この作品をシェア

pagetop