月の絆~最初で最後の運命のあなた~


 だけど、マリアは気づいて狼呀の手の中から引き抜いた。


 ゆっくりと目を開けて、彼女に目を向けると、真っ赤な顔をして手袋をはめて、キスされた手をもう片方の手で抱える姿があった。


「あ……」


 自分が自然とやらかした事に気づいて、表情に出していないが狼呀は焦っている。


 まだ、マリアが心を開ききっていないのに、やり過ぎたと――。


「いや、わるっ」


「とっ……」


「とっ?」


 少しだけ涙目になりながら、マリアはそう呟いた。


 もしかしたら、車から飛び出していってしまうかもという考えが頭に浮かび、車をロックしようかと思ったが、その音でパニックを起こすかもしれない。






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