月の絆~最初で最後の運命のあなた~




 小さな降伏を感じて、狼呀は琥珀色の瞳を細めて笑った。


「それで、何分待ってた?」


「……まだ聞くの? もうその話は終わったと思ったのに」


「まだ聞いてないからな」


 マリアは分かっていない。


 伴侶に対して人狼は、かなり過保護で嘘や偽りを許さないのだ。


 そこで、自分が人間ではなく人狼だと知ったら、マリアはどんな反応をするかと思う。


 聖呀の伴侶は、最初は戸惑っていたものの、聖呀の一途な想いと誠実さに全てを受け入れた。そもそも、初めて出会った時からお互いに好意を抱いていたのだから何の参考にならない。


「……十分だか、十五分くらい待ってたかも」


 そう言って、顔を背けたマリアだったが、さっきとは違う意味で耳と頬が赤い。


(待ち合わせ時間より早く来る。これは好意か?)


 あまりの嬉しさに我慢が出来なくなって、狼呀は掴んでいた手を持ち上げ、指先にキスをした。


 気づくか気づかないかってくらい、軽くかすめるようなキスだ。



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