月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 バスの車内には携帯電話に夢中になっている女子高生と、疲れて寝ているOL、怯えた様子で鞄を抱きしめるサラリーマンと数人が乗っている。


 平日のいつもと同じ時間にしては、乗客は少ない。


 そのせいなのか、スピードがやけに速くて、あっという間に近所のバス停に到着した。


 降りたのはあたしだけで、バスが走り去ると不気味なほど静けさが気になってくる。


 家への一本道には、何軒もの家やアパートがあり、街灯もある。


 毎日、帰る時間は同じようなもので、一度だって通る事が怖いと思った事はなかったのに、今日は嫌に怖い。


 あたしは、早く通り過ぎようと走った。


 後ろから誰かの足音がするような気がして、呼吸が浅くなってくる。


 バス停から歩いて6分程の距離なら、走ったら2分か3分程度の距離のはずなのに、酷く遠く感じた。


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