月の絆~最初で最後の運命のあなた~




 新たな決意を胸にマンションに入ると、すぐにこの建物の持ち主が吸血鬼だということに気がついた。


 匂いもそうだが、コンシェルジュとしている女の外見と首に巻かれたスカーフ。


 表だって動かない吸血鬼が会社やビルを持つ場合、こういった吸血鬼崇拝派の人間がいる。


 若くて美しい女性。


 老いを怖れる女性。


 自分は特別だと思っている女性。


 タイプはみんな似ている。


 あまり関わりたくはないが、仕方がなく狼呀はにこやかなコンシェルジュに近づいた。


「すまないが、楠木マリアの部屋を教えてくれないか?」


「お約束がおありですか? 申し訳ありませんが、お名前をお伺いしても?」


 頬を染めるでも、口ごもるなんてこともせず、女はにこやかな表情を崩さない。


 普通の人間は、狼呀の持つ外見やアルファとしての独特な雰囲気で言うことを聞かせやすい。







 
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