月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「こちらの鍵は、一番奥にございますエレベーターのものです」
手渡されたのは、少し小ぶりな鍵だ。
「もうひとつの鍵は、お部屋のものです。お帰りのさいには、鍵をお預かりしますので、よろしくお願いいたします」
そして、もうひとつはまさに家の鍵といった見た目だが、ピッキングが困難な仕様になっている。
狼呀は二つの鍵を手に、コンシェルジュに背を向けてエレベーターに向かった。
狼呀も人狼専用のマンションを所有し住んでいるが、専用のエレベーターは持ってない。
胃がむかむかするような感覚に襲われながらエレベーターに乗り込み、ボタンがあるはずの場所に鍵を差し込むと、扉が閉まって上昇しはじめた。
密室となった空間には、覚えのある匂いが充満している。