月の絆~最初で最後の運命のあなた~




 考えが知りたくてこめかみ、額、頬とキスしていき、唇に戻ろうとしたところで、ようやくマリアは答えた。


「考えさせて」


「考える?」


「そう。真剣に考えたいの……本当に付き合うならね。でも、あなたの気持ちは分かったし、あなたの人狼だってことも受け入れてるから」


「そうか……わかった」


 聞きたかったことの全てではなかったが、少しの満足感だけで我慢して、一歩下がって離れる。


 狼呀は助手席にマリアを乗せると、自分も運転席に回って乗り込んだ。


「そうだな……考えた方がいい。人狼の付き合うは、人間のカップルとは違う。一時的に付き合って、簡単に別れられるものじゃないからな」


 普通の人間にとっては、かなり重い関係かもしれない。人に教わるのが向いていないと言ったマリアが、束縛にも似た逃げられない関係を、受け入れられるのか。


 まだ、完璧に安心できない二人の関係に不安を覚えながらも、きちんと説明はしなければと、エンジンをかけて狼呀はゆっくりと車を走らせはじめた。




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