月の絆~最初で最後の運命のあなた~



「本当に、これで良かったのかい? マリアに聞かせたことが、正しいのか分からないよ」


 レンは、どこまでも澄んだ海の色をした瞳を曇らせた。


「これが……住所だよ」


「レンが気にすることじゃないよ。でも、ありがとう」


 茶色い封筒に書類を戻して、住所が載った一枚だけをレンがくれた。


 手にした瞬間、あたしの気持ちは固まった。


 手離さなくちゃいけないモノの大きさは分かってる。


 狼呀との出会いは、神様がくれた最後のプレゼント。


 でも、遅すぎた。




< 227 / 356 >

この作品をシェア

pagetop