月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「本当に、これで良かったのかい? マリアに聞かせたことが、正しいのか分からないよ」
レンは、どこまでも澄んだ海の色をした瞳を曇らせた。
「これが……住所だよ」
「レンが気にすることじゃないよ。でも、ありがとう」
茶色い封筒に書類を戻して、住所が載った一枚だけをレンがくれた。
手にした瞬間、あたしの気持ちは固まった。
手離さなくちゃいけないモノの大きさは分かってる。
狼呀との出会いは、神様がくれた最後のプレゼント。
でも、遅すぎた。