月の絆~最初で最後の運命のあなた~




「そいつ、公務員とか言ってたけど、本当は何者なの?」


「まあ……裏の人間って事だけは知らせておくよ」


「そいつ……昴に何をやらせてたの?」


 一瞬、レンは躊躇った。


「……呼びつけて車の運転や買い物に付き合わせてた。気に入らなければ暴行も加えてたよ。でも、証拠に残らないようにやっている」


 怒りで目の前が、真っ赤に色づいた。


 頭の中では、その男の前で妻と子供を痛め付けるイメージが浮かんでは消える。


 絶対に、男の事は最後まで殺さない。


 目の前で妻と子供を拷問しつくしてから殺す。


 そんなイメージに呑み込まれそうになっていると、ぎゅっと握り締めた手に冷たい手が重ねられた。



< 226 / 356 >

この作品をシェア

pagetop