月の絆~最初で最後の運命のあなた~
スピードは落とさず、一直線にマリアへと歩み寄り、腰に腕を回して引き寄せて自分の背後に隠す。
本人は、かなり驚いていた。
「狼呀! どうして、ここに」
(どうして? 彼女は、どうしていつもそうなんだ)
絆を手離したのは、マリアだ。
わかっているはずの質問をされて、狼呀は狂暴な唸り声を響かせた。
「俺を捨て、置き去りにしようとしたのは、マリアだろう」
「別に、あたしは……」
「違うとは言わせないぞ」
後ろに軽く振り返ると、マリアは息をのんだ。
狼呀の瞳に怯えたのだ。
今回は、違う衝撃が体を襲った。