月の絆~最初で最後の運命のあなた~



 スピードは落とさず、一直線にマリアへと歩み寄り、腰に腕を回して引き寄せて自分の背後に隠す。


 本人は、かなり驚いていた。


「狼呀! どうして、ここに」


(どうして? 彼女は、どうしていつもそうなんだ)


 絆を手離したのは、マリアだ。


 わかっているはずの質問をされて、狼呀は狂暴な唸り声を響かせた。


「俺を捨て、置き去りにしようとしたのは、マリアだろう」


「別に、あたしは……」


「違うとは言わせないぞ」


 後ろに軽く振り返ると、マリアは息をのんだ。


 狼呀の瞳に怯えたのだ。


 今回は、違う衝撃が体を襲った。




< 238 / 356 >

この作品をシェア

pagetop