月の絆~最初で最後の運命のあなた~



「まさか……気づいてないのか?」


「え? 何が?」


 そんな会話をしていると、次々と人がやってきて、テーブルの上は食べ物で溢れていく。


「なんのお祝い?」


「やだねー、この子は」


 アニーは、呆れたように呟いた。


「ちょっと! 教えてくれても」


 あたしが拗ねて言うと、冬呀はくすくす笑いながら一枚の封筒を差し出した。


 宛名はあたしで、ちゃんとこの場所の住所が書いてある。カナダの雪に閉ざされたこの場所の。


 でも、この場所に来るとき、過去は全部すててきたから知り合いなんてことはない。


「誰から?」


 差出人の名前がなくて聞くと、冬呀はあたしの頬を撫でてから頭のてっぺんにキスをした。


「開けてみればわかるさ」


 彼のことは信頼しているから、あたしは促されるまま封筒を開けた。






< 348 / 356 >

この作品をシェア

pagetop