月の絆~最初で最後の運命のあなた~
「まさか……気づいてないのか?」
「え? 何が?」
そんな会話をしていると、次々と人がやってきて、テーブルの上は食べ物で溢れていく。
「なんのお祝い?」
「やだねー、この子は」
アニーは、呆れたように呟いた。
「ちょっと! 教えてくれても」
あたしが拗ねて言うと、冬呀はくすくす笑いながら一枚の封筒を差し出した。
宛名はあたしで、ちゃんとこの場所の住所が書いてある。カナダの雪に閉ざされたこの場所の。
でも、この場所に来るとき、過去は全部すててきたから知り合いなんてことはない。
「誰から?」
差出人の名前がなくて聞くと、冬呀はあたしの頬を撫でてから頭のてっぺんにキスをした。
「開けてみればわかるさ」
彼のことは信頼しているから、あたしは促されるまま封筒を開けた。