月の絆~最初で最後の運命のあなた~








「きゃあああ!」


 見事に悲鳴を上げた。


 ありえない。


 後ろにいたのは、肘をついて上半身を起こしている半裸の狼呀。


 下半身は辛うじてシーツで隠れているけど、そういう問題じゃない。


 問題は、あたしが同じベッドで寝ていて、腰に彼の片手が乗っていることだ。


「朝から元気だな」


 何を勘違いしているのか、固まるあたしに顔を近づけてくる。明らかにキスをしようとしている。


「やっ、やめて!」


 慌ててベッドを飛び出して、鳴り続ける電話に目を向ける。


 着信相手は――レン。


 あたしは、すぐそばにある扉を開くと逃げ込んだ。








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