優しいキス
「俺も今のお前との距離感は居心地いいし、気に入ってる。
でも…満足はしてねぇよ」
そう言って。
彼は私の唇に自身のものを重ねた。
それは、今まで感じたことのない。
温かくって優しい唇だった。
触れているだけの優しいキスは。
隙間を作り、彼は囁いた。
「…恋愛するには幼すぎたんだ、俺達」
言いたいことも言えずに飲み込んできた私たち。
今なら私たちの距離も変わるのかな…。
今までにない。
甘い空気に包まれていた私と彼。
…だったのに。
「善は急げ、オトナの恋愛するぞ」
「え?や…ちょっと!!」
「心配するな、シュミレーションはカンペキだ」
「なんのシュミレーションよ!!」
ヒョイ、と。
軽々と抱えあげられた私が連れていかれた先は。
…ご想像におまかせします。
「散々待たされたんだ。
もう触れてるだけじゃ満足できねぇ。
あんなキス、もうしないから覚悟しとけ」
そんな言葉を聞かされたのは。
12時をまわったばかりの。
24日でした…。
【…END】
