にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 朝になると腰はやっぱり痛い。朝が何故か一番痛いんだ。顔を顰めながら起き上がり、ベッドから降りた。

 ああー、冷蔵庫まであと少し。流石にお腹がすいた。昨日は朝ごはんのみで昼食、夕食は抜いてしまった。


 だから、なんとしても朝ごはんくらいは。といっても料理なんかする気力はなくて冷蔵庫には賞味期限ギリギリの食パンが。食パンは賞味期限が多少切れてたって大丈夫。冷蔵庫に入れときゃ、よっぽどじゃない限り腐らないんだから。


 あと、数歩というところで、玄関のチャイムが鳴った。こんな朝早く来るのは絶対にミィコしかいない。沸々と沸いてくる怒りをなんとか鎮めながらインターホンのディスプレイを見た。


 ……やっぱり、ミィコ。朝からお前は何の用なんだ? 


「ミィコ、朝から何の用?」

「ちょっと、ね」


 意味ありげな彼の笑顔に若干苛立ちを覚える。

 何なのか、何の用なのか、さっさと言え。辛いその腰痛を耐えて耐えて玄関の扉を開けた。


「じゃじゃーん。朝はやっぱり洋食でしょう」


 そう言って目の前に出したのはお盆に乗せられたピザトーストとコーンスープとそれになんとも美味しそうな大根と人参のサラダ。香ばしいピザトーストのソースの匂いが鼻腔を刺激した。

 それに野菜。

 食べたい。

 黙っている私の代わりに私のお腹は元気よくギュルルルル、とお返事しました。


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