にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「ありがとう、ミィコ。じゃあ」



 私はお腹の大きな音はスルーしてピザトーストが乗ったおぼんを受け取ろうとした。むむ、ミィコが離そうとしない。


「ミィコ、おぼん離してくんないと部屋に入れないよ」

「あ、そっか」



 すぐに閉めようとした玄関のドアはしっかりとミィコによって阻まれ、ズイっと図々しく入ってくるミィコ。



 うがッ! もっと病人は丁重に扱え! 



 腰が痛くてフラッとしたところでひょい、と再びお盆はとられ、もう一方の手で腕を支えられてなんとか下駄箱にぶつからずにすんだ。



「おおっと、とと。ごめん、ミィコ」

「どういたしまして♪ 最近、由比子、素直だよね。いい傾向、いい傾向♪」



 心外なその言葉に呆気にとられているとミィコは躊躇なく私の家のリビングに我が物顔で入っていく。自分の家のように入っていくけど私の家だからね?! 



 苦労してリビングに到達したときには既にミィコはテーブルについてちゃっかり自分の分まで用意してきていたらしく、二人分の朝食が並んでいた。



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