ご近所恋愛（笑）

「あー、働いたわぁ。メシまだかなぁ」


「俺もお腹ペコペコ～」


「もう食堂に行っとくか」


「そうですね」


四人で揃って、食堂に向かうと、空腹をさらに煽らせるような、いい匂いが漂ってくる。

ドアを開けると、丁度真田さんが作っている途中であった。


「誠ぉー、メシまだかいなー」


「もう少しだ。座って待っていろ」


待ちきれないのか真田さんの周りをうろちょろしたながら、ご飯を覗き込んでいる楓さん。
あはは、と苦笑しながら、私は席についた。

真田さんとは先ほどのことがあるため、少し気まずい。


「そうだ子猫ちゃん、メシの時間教えてなかったな。メシは朝は七時、昼は十二時、夜は六時って決まってんだ。時間厳守、遅れたらメシは抜き。もしメシがいらないんだったら予め誠に連絡しとくこと。分かったか？」


「はい」


随分と厳しい感じもするが、みんなでご飯を食べるならこれくらいしないといけないのだろう。

それより、私は真田さんの作るご飯がどんな物なのか楽しみで仕方なかった。私もかなり空腹なのだ。

呑気によだれを垂らしていると、重大なことを忘れているのに気がついた。


「…あ！すいません、姉に連絡しないといけないんでした。行ってきて大丈夫ですか？」


「ん？別に構ねぇよ」


「すいません！」


私は転がるように食堂を飛び出す。姉から落ち着いたら連絡をよこせと言われていたのをすっかり忘れていた。

部屋から携帯を探し出し、慌てて姉の携帯番号にかけた。


「……もしもし。あ、お姉ちゃん？」


“もしもしじゃないわよ馬鹿たれ！！！！”


「うっ…！」


電話越しに聞く姉の怒声。電話越しなのに耳がキーンとなる。


「反省してます…」


“まったく…！心配したんだから！”


「ごめんなさい…」


“はぁ…もういいわ。で、どう？そっちは”


「変な人が多いけど、いい人達だよ」


(一部を除いてはね…)


“そう、よかった。上手くやっていけそうね。マメに連絡しなさいよ、困ったことがあったらすぐに言うこと。いい？”


「うん、分かってるよ」


“あと……『桜、いつまで電話してる』…あ、すみません。もう、きるわね、元気にやりなさい”


「あ、お姉ちゃ…」