もうひとつの偽聖夜
シュウたち『ゆめさきドリームズ』の連中は、まんまとサンタ2号が案内する、『君は名探偵になれるか』会場に入っていった。
――くくく。シュウ、てめえは名探偵なんかにはなれねえよ。せいぜいねえ頭使って、疲れまくって出てくるんだな。
そう一息ついていると、大活躍のコバンザメたちが戻ってきやがった。
「おめえら、ご苦労だ!ミッション成功だな!褒めてつかわずぞ」
「楽勝だぜ!でもニセサンタ1号!俺ら帰る時間だ。もうミッションはできないよ。頑張って、一人であいつらと戦うんだぞ」
「なんだと?てめえら、俺様を置いて帰る気なのか?」
「仕方ないだろ、もう集合時間だ」
「なんだよそれ……」
「ニセサンタ1号!またな!来年もニセサンタやってろよ!」
「バカヤロ。誰が来年もこんなことやってるかってんだ」
「やってるよ!絶対!だって、お前サンタ似合うもん」
「なめんなよっ誰がサンタが似合うんだよっ!てか、ほんとに帰るのか?ミッションどうすんだ?誰が俺をかくまってくれるんだ?」
「じゃあなあ、ニセサンタ!また来年な」
「お、おいっ待てコラ!お前ら待て!」
「イベント会場の皆さん、ありがとうございましたっ!!」
大きな声を合わせ、親に付き添われ去っていくコバンザメたちを、なぜか、涙ぐんで見送る俺がいた。