夏月一会
「そうか……」
病院から帰った慶一に検査結果を聞いて、先代はだた一言呟くように言った。
「分かった。もういい。お前にはやることがあるだろう。そっちに戻れ」
「はい…」
意外にもあっさりとそれだけの反応で、慶一は拍子抜けさえしたが、他には特に何も思わず、その場を離れた。
「柳」
「はい」
「あいつを呼べ」
「『あいつ』…とは?」
「――……」
その名を聞いて、驚き、嫌な予感がした。
後日、慶一と遥は、先代に呼ばれ、部屋へと行った。
「失礼します」
ドアをノックすると、柳が中からドアを開けた。
「どうぞ」
二人に会釈をし、中に促した。
中に入った慶一は、目をみはった。
そこには……もう二度と会うことはないだろうと思っていた人物の姿があった。
「浩司……」
部屋の中央に置かれている皮のソファーの下座に、浩司が座っていた。
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