婚カチュ。
一瞬、冗談なのかと思ったけれど、彼の表情にふざけた様子はうかがえない。
にぎやかなステージを見るともなしに見て、彼は肩をすくめた。
「事業といっても、いわゆるインターネットビジネスで従業員はいません。それでもまあ、そこそこ稼がせてはもらっていて、実業家の方たちのパーティーにも呼んでもらえるようになりました」
そういう広瀬さんもまた青年実業家だということだ。
「そうだったんですか……で、インターネットビジネスってなんですか」
わたしの素朴な問いに、彼は小さく微笑んだ。
「いろいろとあるんですが、僕が最初にはじめたのは電子商取引といわれる類です。ユーザーの興味を引く内容をメルマガやブログで公開して、アクセス数を伸ばし、そこから広告収入を得るんです。それを足がかりにして――」
理路整然とした語り口調はわたしより4歳も年下であるということを忘れさせた。
こんなにしっかりしていて本当に弟と同じ年なのか、と疑念を抱いてしまう。