婚カチュ。
イタリアンやフレンチもいいけれど、気の置けない友達と気楽に話すならこういうお店のほうが落ち着ける。
おしゃれなお店よりも安くて美味しい焼き鳥屋に馴染んでしまうのは、大人になったからだろうか。
それとも女として枯れているということなのか。
会社帰りのサラリーマンでにぎわう店内で、華やかな希和子だけが浮いてみえる。
「でもそのイケメンアドバイザーは桜田さんのお墨付きなわけでしょ。辛抱して付き合ってればいい結婚相手が見つかるんじゃない?」
彼女の言葉にわたしはため息をついた。
「辛抱してアドバイザーと付き合うって、なんか変」
わたしは客なのに、とつぶやくと、希和子は「ほんとだね」と笑った。