婚カチュ。


「東京タワー。昼に見るのは久しぶりだ。勤務先からスカイツリーは見えるんですがね」

「あ、わたしの職場からも見えます。スカイツリー。すごく遠くにですけど」
 

思わぬ共通点に声を弾ませると、戸田さんは目元を緩めた。


「私は東京タワーが好きなんですよ。佇まいがなんだか可愛いらしい。そう思いませんか? 周囲もにぎやかで」

「可愛い?」
 

もう一度窓の外に視線を放る。
 
末広がりで赤と白に塗装された特徴的なフォルムの電波塔は、周囲のビルに囲まれながら天に向かってアンテナを伸ばしている。


「スカイツリーも目立ちますが、あれは周りに高いビルがないせいかとても異質な感じがする。他の追随を許さない、まさに天下を睥睨するといった様相だ」
 

そういわれてみるとたしかにスカイツリーはあまりにも巨大すぎて周囲から孤立しているように見えるのに対して、東京タワーは周囲の超高層ビルと群れながら外観で異彩を放っている感じがする。


「そういう見方もあるんですね」
 

素直に感心してしまった。
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