婚カチュ。
広瀬さんのことが好きです。
そう言い終わるまえに、唇が重なった。
丸テーブルの向こうから、彼は身を乗り出すようにしてわたしにキスをしている。
「――」
厚めの唇の柔らかな弾力にわたしは息を止めた。
すこし角度をつけた顔は間近に見ても端正だ。レンズの奥の目と視線が合ってからだが震える。
「ひ、ろせ」
急に恥ずかしくなり、からだを引こうとした瞬間大きな手が後頭部に回された。
「あぅ」
頭を押さえられ、逃げることができないまま長い長いキスをした。