婚カチュ。


つまり、桜田さんと広瀬さんは恋愛関係になくて、むしろ親子関係で、わたしは余計なことにずっと思い悩まされていたということだ。


「それは、俺も初耳なんだけど」
 

広瀬さんがじろりと桜田さんを睨んだ。


「やだぁ、智也くんの恋を手伝ってあげたんじゃないの。心配してたのよ。変な女の子にばっか付きまとわれてて、女性不審になりかけてたから」

「だからって」

「ついでに白状すると、希和ちゃんに協力してもらって星野さんのパーティであなたたちを引き合わせたのもわたしだったりして」
 

うたを歌うように言われ、わたしは「えっ」と声を上げた。
広瀬さんも目を見開いている。


「希和ちゃんにパーティーのチケットを渡したのはわたしなの。紫衣ちゃんのためだからって。まあ本人も実業家のパーティーなんてはじめて! って楽しみにしてたみたいだけど」


広瀬さんが顔をしかめる。


「それって、母さんの代理で行った星野社長のやつ?」

「うふふ、そうよぉ」

「なんだよ、それ」

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