婚カチュ。
「当然のお気持ちだと思いますよ。実際そういう方は多いです」
無感情だけど冷たくはない、不思議な抑揚の声が聞こえた。
「女性は男性よりも注意しなければならないことやリミットがあって大変ですよね。焦るのも当然だとおもいます」
思いがけずやさしい言葉をかけられ、わたしは顔を上げた。
「そうなんです。周りも急に結婚し始めたし、会社でも可愛げないって嫌味を言われるようになるし、親も嫁に行けってうるさいんです」
「……結婚といっても現実の生活ですからね。打算があって然るべきでしょう」
テーブルのカードに目を落とし、彼は続ける。
「それじゃ、条件にぴたりと合う人がいたら即ご成婚って感じですかね。なんせこれだけ細かく条件を書いているわけですし」
見つかるかどうかは別として、と付け加えた彼の指先は、わたしのプロフィールを差している。そこにはお相手の希望条件が事細かに記されていた。
年齢や年収、家族構成などの一般的な項目に加えて、備考欄には性格や趣味について、あるいは酒やギャンブル、タバコはどの程度か、または家族との仲のよさや同居の可能性などについて、微細な字でびっしりと書き込んである。
わたしがこの結婚相談所に入会したときに自分で記入したものだ。