婚カチュ。
「それは……褒めてるんですか、けなしてるんですか」
一口飲んだペットボトルを彼に返し睨みつける。すると広瀬さんは意地悪そうに笑った。
「さあ、僕は事実を言ってるだけなんで。それでも、あなたがとても面白いひとだということは理解しました」
ことばのなかに僕と俺が入り混じる。
仕事とプライベートの境界がぼやけた彼の爽やかな微笑から、わたしは目を逸らした。
ほんの3時間のデートが終わると、広瀬さんは自宅近くまで送ってくれた。
結婚相談所のロゴが入った車を自宅前に駐車されるのは嫌でしょうから、と家の前を通り過ぎ、ちいさな公園脇に車を停める。
「今日は二ノ宮さんをドキドキさせるのが目的だったんですけど」
シフトレバーをパーキングに入れると、広瀬さんはため息をついた。
「僕のほうがドキドキしちゃいましたよ」