婚カチュ。


「ほら、あそこで囲まれてる男。名前は……たしか戸田って言ってたかな。自己紹介で弁護士って言ってたでしょ」

「ああ、そうなんですか」
 

それは4人いる男性のなかでいちばん穏やかで上品な空気を持っているひとだった。雰囲気がいいうえに法律関係の有資格者なら、女子の興味を根こそぎ奪ってもやむを得ない。


「そうなんですかって、きみ、自己紹介聞いてなかったわけ」
 

ちぐはぐ男が呆れたように言う。 


「聞いてましたけど、覚えてなくて」
 

本当は覚える気がなかったのだけれど、顔には出さずデザートにフォークを伸ばした。


「はは、相手探す気あるの。それとも相手の職業は関係ないとか?」

「職業は大事だと思います」
 

即答すると、露骨にいやな顔をされた。

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