婚カチュ。


「あんた中途半端だなぁ。まあ、俺も最近婚活に疲れてきてさ。もう惰性で参加してるようなもんなんだよね」
 

さっき、「ぼくこういうの初めてなんです」て言ってなかったっけ、この人。

ふと彼の薄い唇がゆがんだ。笑ったらしい。


「あんたとは気が合いそうだな。あとでこっそり抜けないか? ここのアドバイザー、誰かと交際はじめたら、ほかの女とは連絡とっちゃいけないって言うんだよ」
 

それは真剣な男女交際を斡旋する会社として当然のシステムじゃなかろうか、と思いながら「遠慮しておきます」と断ると、


「なんだよ、あんただってどうせ周りにうるさく言われて、焦ってとりあえず相談所に駆け込んだクチじゃないの? でも現実問題、婚活って楽じゃねぇんだよな。親密な間柄になろうって相手に、なんで接待みたいな真似しなきゃなんねえんだって、あんたも思わない?」

「……はあ」
 

相槌を打ちながら、ぼんやりと考える。
 
< 62 / 260 >

この作品をシェア

pagetop