婚カチュ。


確かに婚活は簡単じゃない。

希望通りの男性なんてめったに現れないし、運よく現れたとしても好きになれるとは限らない。
一生のパートナーを選ぶとなると、誰だって慎重になるし、臆病にだってなる。


「年会費払った分だけ利用したら、婚活はやめようと思ってんだよね俺。だからいまは単純に交流目的で参加してんの」
 

その交流っていうのはつまり、男女の肉体的な交わりを指すのだろう。
結婚を前提にと付き合い始め、からだの関係にまで至るけど、最終的になんやかんやと理由をつけて逃げていく。
男のそんな姿が目に浮かんだ。
 
真面目に結婚相手を探していない、形だけの婚活組。こういうタイプの会員もいるんだなと思っていると、男は蛇を思わせる表情でにたりと笑った。


「だいたい、相談所に来てる女なんて欲求不満のかたまりみたいなもんだろ」
 

そこまで言って男は「うわっ」とからだをこわばらせた。
濃紺のジャケットからウーロン茶が滴り、絨毯まで濡らしている。

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