婚カチュ。


「相手が答えに詰まったり、話を濁すようなことがあったらあまり踏み込まないほうがいいですよ。会話のテクニックとして」
 

先手を打つように言われ、頬が熱くなった。


「でも今みたいに、目を輝かせてお相手の話を熱心に聞いていれば、きっと印象もいいと思います。外見や雰囲気だけでお見合いには漕ぎ着けても、その先の交際や結婚ともなると途端に中身が重要になってきますから、」
 

弁護士とのお見合いをセッティングする旨をあらためて確認し、広瀬さんは笑顔を見せた。


「頑張ってください」

「……はい」
 

美男子の笑顔に、わたしの胸は一瞬だけ高揚し、すぐに沈んだ。


ひどく申し訳ないような、相手を騙しているような、やりきれない気分だった。 


< 88 / 260 >

この作品をシェア

pagetop