婚カチュ。


ガラス張りの面談室から通路に出ると、白い照明に照らされてモデルのように隙のないスタイルの女性が立っていた。


「おつかれさま、紫衣ちゃん」

「あ、桜田さん。お久しぶりです」
 

相変わらず30代の美貌を湛えて、彼女は広瀬さんを見る。


「智也くん、紫衣ちゃんと戸田さんのセッティング決まった?」

「ええ、来週です」

「そう。よろしくね。それとさっき星野さんから電話があったわよ。折り返しほしいって」

「わかりました」
 

失礼します、とわたしたちに小さく会釈をして、広瀬さんはスタッフルームのドアをくぐっていく。


美容サロンのような趣のフロアにはミーティングをしたり、軽いお見合いができるようなソファセットがいくつも並んでいる。
このフロアを使って小規模のお見合いパーティーを催すこともあるらしい。

スタッフルームとは反対側の隅にガラス張りの面談室が2部屋ある。いずれも室内を見通せてしまうけれど、ブラインドを下ろせば問題なく目隠しができた。

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