婚カチュ。
「どう、婚カツは?」
ネックラインにビジューをあしらった白いカットソーとタイトな黒色のパンツというシンプルな装いなのに、桜田さんは芸能人のような強いオーラをまとっている。
「ええと、まあまあです」
自分が入会している結婚相談所の社長に「中途半端な気持ちです」なんて言えるわけがなく、曖昧にうなずく。と、桜田さんはわたしに身を寄せてきた。
ヒールで割り増しされた長身をすこしだけかがめて、わたしの耳元に口を近づける。
「ねえ紫衣ちゃん、もしかして」
内緒話のように声をひそめ、桜田さんは言った。
「あなた、智也くんに気があるでしょう?」
「えっ」
息を吸い込んだまま、わたしは動けなかった。