初恋*
「あ、ハナコ!お前、なに昨日休んでんだよっ!ズル休みかー?」
いつもと変わらないツンツン頭と、
いつもと変わらない笑顔のアイツ。
ホッとする反面、奏多の気持ちを知ったから沙希と並んでいるのがツライ。
そして、沙希に話し掛ける奏多の顔は
あたしといる時には見せない顔。
なんで、あたしに沙希が好きなんて
言ったりしたのよ。
卒業まであと数ヶ月。
笑って卒業出来る時を楽しみにしていたのに。
…こんなのって、なくない?
「ズル休みだよ。なんかダルくない?学校」
「学校大好きハナコが?珍しいな」
学校が好きなんじゃなくて
奏多に会えるから好きなんだよ。
ーーなんて、もう口が裂けても言えない。
ガタっと席を立った沙希が
あたしの耳にコソっと耳打ちする。
「ハナコ、話があるの…。トイレ行かない?」
耳にダイレクトに届く可愛らしい声。
沙希の顔を見てから、ゆっくり頷いた。