初恋*
教室に入る前に、クラスメイトが廊下でヒソヒソと話しているのが見えた。
「おはよう」
その子たちの肩をポンっと叩いて挨拶をすると、待ってました!と言わんばかりの顔であたし見た。
「ハナコ、おはよう。ねぇ、見てよ。奏多のこと。笑って沙希と話してんの」
「珍しくない?ハナコ以外と話すのなんて今までなかったじゃん」
ドクンーー…
心臓が一回跳ね上がったかと思うと、ものすごいスピードで心臓が動く。
そっと、教室を覗くと奏多と沙希が笑顔で話していた。
その姿を見るのは、やっぱり少し…いや、かなり切なかった。
「なんか、沙希チョーシ乗ってない?」
「ねっ!なんかあたしも奏多と話せるんだよオーラがすごすぎ!優越感に浸りすぎ」
…あたし的には、あなたたちのその思考の方がすごすぎると思うけど?
「…そんなこと、言わないで」
あたしの言葉に、ハッと口元を隠して
やばいという顔をする2人。
この子たちだって、きっと奏多と話したいんだ。
…今まで優越感に浸ってたのは、あたし。
責められるなら、あたしだって同じだ。