初恋*



「ハーナコ」


放課後、駐輪場でふいに呼ばれた奏多の声に
一瞬心臓が跳ね上がって、ドッドッドッと一定の速さで動く。



「…か、奏多。なに?どうしたの?」

「あー、ちょっとさ。話しあるんだけど。今、良い?」



ちょ、ちょっと待ってよ。急展開。

何度も漫画で読んだシチュエーション。


放課後、駐輪場、呼び止められる。
もしかしてーー




ドキドキ、ドキドキーー


心臓がうるさくて、全身が心臓になったように揺れる体。


少し日が傾いている。
その光が奏多に降り注いでいて、こちらからは逆光。


ーー目が眩みそう。





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