初恋*
ゆっくり動く、奏多の唇を見る。
あぁ、やっぱり好き。
うん。大好きだ。
「ずっと、言おうと思ってたんだ」
傾けた耳は、もう奏多の声しか響かない。
「俺さ。…いや、なんか照れるな」
こちらが恥ずかしくなるほどに、奏多の真っ赤な顔。
キューンと、胸が鳴るのは漫画の世界だけだと思っていた。
「な、何よ。早く言ってよ」
こんな時まで出てくる嫌味ったらしい言葉。
本当に自分で自分が嫌になる。
「いや…ずっと、言おうと思ってたんだけど…なんか、ハナコとの関係壊れたらと思ったら言えなくて…」
ドキドキ、ドキドキーー
「俺…」