女装男子VS男装女子。

着いた場所は、いつもの空き教室だった。


「あっくん?」

「……桃さ、分かりやすいんだよ」

「え。そんなに!?」

マジかー…じゃあ蓮も気づいてたり?

「神宮はまだ気づいてないよ。意外と鈍いみたいだから」

「そーですか…、ってあっくんなんで分かったの?!」

「声に出してたよ」

ああぁあ……

そんなんじゃいつバレてもおかしくないじゃん!

あたしは口を押さえた。

「なにしてんの。別に、僕以外いないんだから大丈夫でしょ」

「そうだけど……」

「桃はさ、蓮と一緒で鈍いよね」

唐突にあっくんがそんなことを言う。

「あたし、鈍くないよ」

「鈍いよ。だって、僕が好きだってこと、全然気づかないじゃない」

「………………………………………………え?」


待って。

今なんか幻聴が……


「幻聴じゃないから。全く、人の告白を幻聴扱いとか失礼すぎ」

「……ええぇえぇぇ!?あ、あっくんが、あたしを好きぃっ!!?」

なんで!?
あたしのどこが!?

「…ずっと、好きだった。でも、返事はいらないよ。分かりきってるからね」

寂しそうに笑うあっくん。

あたしは、なんて返せばいいのかわからなかった。

ダメじゃんあたし……あっくんにこんな顔させるまで気づかないなんて。

こんなこと言わせちゃうなんて。


返事はいらない、なんてそんなこと。


絶対に言わせちゃいけないのにーー。


「あっくん……」

「あ、ゴメンね。話が反れちゃった。で、桃はこれからどうするの?告白するの?」

さっきまでの顔が嘘だったかのように、いつもの無表情に戻るあっくん。

…いつも、あたしのことばっかり。

どうして自分のことは後回しなの。


あっくんは優しすぎるよーーーーー

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