君が嘘をついた理由。
昨日ベットに運んでくれたこととか、
朝ごはんのこととか。
いろいろとお礼を言わなきゃ、と思ったのに。
先に口を開いた早川さんに言われて、数秒遅れで頷く。陽太、か。
「あ、」
「わ…、行かないと…!じゃ、行ってきます」
時計を見上げて、鞄を持ってそのまま玄関へと向かう陽太、にせめて見送り位はするべきだろうかと思ったけれど、低血圧の私は動けそうになくて。
ガチャンとドアの閉まる音を聞きながら、心の中でいってらっしゃいと呟いた。