君が嘘をついた理由。
「……あ、そうだ」
陽太が出勤して、
それからさらに30分ほどベットに横になり。
そろそろ起きようと体を起こして、パンを一口かじったところで、思い出した。
たしかこっちに……端っこに置かれた本の山。それらも歴史関係のものだったけれど、昨日の夜。この家に入ってすぐ、そこへ隠すように置いたそれ。
猫がバックなんて持つはずがないだろうと咄嗟に思って、
すぐにバックは目につきにくいところへ避難させたのだ。
陽太は多分気付いてなかったのだろう、と思う。
昨日と同じところに置かれたままのそれは、私が寝ている間に触られた様子はなかった。