君が嘘をついた理由。







「……あ、そうだ」


陽太が出勤して、


それからさらに30分ほどベットに横になり。


そろそろ起きようと体を起こして、パンを一口かじったところで、思い出した。


たしかこっちに……端っこに置かれた本の山。それらも歴史関係のものだったけれど、昨日の夜。この家に入ってすぐ、そこへ隠すように置いたそれ。


猫がバックなんて持つはずがないだろうと咄嗟に思って、


すぐにバックは目につきにくいところへ避難させたのだ。


陽太は多分気付いてなかったのだろう、と思う。


昨日と同じところに置かれたままのそれは、私が寝ている間に触られた様子はなかった。




< 51 / 312 >

この作品をシェア

pagetop