極上の他人


苦しげに歪んでいるに違いない私の顔をチラリと見た女性たちは、その度に優越感に満ちた表情を浮かべて、わざとらしく輝さんにすり寄る。

そして、必要以上に大きな笑い声をあげて私を挑発する。

『輝さんを独り占めしないで』

とでもいうような視線と共に。

今も、ひたすらツナサラダを食べて意識をそれに集中しているけれど、輝さんを交えた女性たちの声が耳に入ってきて、悲しくなる。

振り向かない。

聞こえない。

輝さんの作ってくれる夕食を食べられるのは嬉しいけれど、そんな私に向けられる嫉妬に耐える時間はかなりのストレスで。

「ごはんのおかわりは?」

そう声をかけてくれる千早くんに、小さく首を横に振った。

「さっさと食べてさっさと帰る」

「え?でも、輝さんが送っていくからもう少し待った方がいいよ」

「……いい。電車で帰ってもすぐだし、輝さん忙しそうだし」

輝さんは女の人との楽しい時間に忙しいから、と言外に漂わせた。

嫉妬している自分を見られたくないし、これ以上ここにいるのがつらいから。

「食べたら帰る」

八つ当たりにも似た声で投げやりな言葉を落とす私の視界の片隅に、肩を竦める千早くんが映ったけど、無視した。



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